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AIを光でつなぐ:NTTなど4社、光チップレット量産にNEDOが最大160億円を支援

AIを光でつなぐ:NTTなど4社、光チップレット量産にNEDOが最大160億円を支援

AIを光でつなぐ:NTTなど4社、光チップレット量産にNEDOが最大160億円を支援

日本のAIインフラの未来を左右しかねない大きな一歩が、2026年10月20日に踏み出された。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、NTTグループや新光電気工業など4社が進める「光電融合」技術による先端半導体の量産技術開発を支援対象に採択したと発表した。生成AIの爆発的な普及でAIデータセンターの消費電力が社会問題になるなか、チップ間を「電気」ではなく「光」でつなぐ技術の量産化は、日本の半導体復権を占う試金石になりそうだ。

なぜいま「光」なのか

AIモデルが賢くなるほど、その裏側ではGPU同士が大量のデータをやり取りし続けている。問題は、このチップ間の通信が消費する電力の大きさだ。計算そのものよりも、データを運ぶための電力がバカにならない。生成AIの普及でAIデータセンターや高性能計算システム(HPC)の処理需要が飛躍的に増える一方、半導体チップ間のデータ通信に伴う消費電力の増大は、もはや無視できない課題になっている。

そこで注目されるのが光電融合技術だ。CPUやGPUといった演算チップの間を電気信号の代わりに光信号でつなぐ発想で、伝送距離が伸びても消費電力が増えにくい。帯域幅の限界を突破できる可能性もあり、AI時代のサーバーやデータセンターを大容量かつ超低消費電力にするための中核技術と位置づけられている。NTTが長年掲げてきたIOWN構想の中核技術でもある。

採択されたのはどんなプロジェクトか

今回採択されたのは、NEDOの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発」のうち、「光チップレット実装技術による半導体デバイスの製造技術開発」というテーマだ。代表提案者はNTTイノベーティブデバイス(横浜市)で、ジャパンセミコンダクター(岩手県北上市)、古河電気工業、新光電気工業(長野市)の4社が共同で提案した。NTT本体はアドバイザとして参画する。

光チップレットとは、光半導体デバイスを含む光集積回路(PIC)と電子集積回路(EIC)を高密度実装した光電融合デバイスのこと。CPUやGPUなどの演算チップ間のデータ伝送を電気信号から光信号に置き換える部品だ。このプロジェクトの目標は、光デバイスの製造から検査、光接続、半導体パッケージ実装までを一貫して行う量産技術を確立することにある。研究開発時点と比較して10倍以上の生産性向上をめざし、実工場への適用を見据えたパイロットラインの構築と評価、検証を進めるという。

支援規模とスケジュール

発表によると、当初の助成は最大160億円、支援期間は2031年までの5年間だ。2023年度からNEDOの事業として光チップレット実装技術の研究開発を進めてきた実績があり、研究の段階から「量産の段階」へとギアを上げるフェーズに入ったことを意味する。各社が持つ光半導体、シリコンフォトニクス、光接続、半導体パッケージ、そして量産プロセスの技術を結集する体制になっている。

ジャパンセミコンダクターは東芝デバイス&ストレージの100%出資の半導体デバイス会社で、製造拠点となる岩手県北上市の事業所には生産ラインの整備が見込まれる。報道によれば、2028年を目標に量産ラインの稼働をめざし、その先の2030年代前半には年100万台規模の生産と世界シェア30%を視野に入れる計画だという。

AI電力問題への処方箋になるか

データセンターの消費電力問題は世界的なテーマだが、日本にとっては二重の意味を持つ。一つは環境とコストの問題。AIの普及に伴って増大するデータセンターの消費電力削減は、持続可能な情報通信社会の実現に直結する。もう一つは産業競争力の問題だ。半導体の製造装置や材料では強い日本だが、最先端ロジックの量産では存在感が薄い。光電融合は、日本が研究開発で先行してきた領域であり、ここで量産技術を押さえられれば、国際競争力のあるサプライチェーンを日本主導で構築できる可能性がある。

各社の役割分担も注目点だ。NTTイノベーティブデバイスが光半導体やシリコンフォトニクスの技術を持ち込み、ジャパンセミコンダクターが半導体製造の現場を、古河電工が光接続の技術を、新光電気工業が半導体パッケージの量産技術を持ち寄る構図だ。光電融合デバイスの製造に関わる企業や研究機関の連携を促進し、NTTがアドバイザとして企業連携とサプライチェーン形成を推進する。つまりこのプロジェクトは、一企業の技術開発ではなく、産業全体のエコシステムづくりを目指すものだ。

残る課題と注目点

もちろん課題は残る。光チップレットは研究室レベルでは実証されてきたが、安定した歩留まりで大量生産できるかどうかは別の問題だ。報道ベースではあるが、生産性10倍という目標の達成には、パイロットラインでの徹底した評価と検証が欠かせない。海外勢もシリコンフォトニクスに力を入れており、量産のスピード競争は始まっている。

投資家の反応は素直だった。NTT株はこの発表を受けて4日続伸したと報じられており、市場も光電融合の事業化に期待を寄せていることがうかがえる。ただし、量産技術の確立から実際の収益化までには数年かかるのが半導体ビジネスの常だ。短期の株価よりも、2031年までの支援期間のなかでどこまで量産の目処が立つかが本当の勝負になる。

日本の半導体政策はここ数年、ラピダスやTSMC熊本工場など大型プロジェクトが並ぶが、光電融合はそのなかでも異色の存在だ。微細化競争ではなく「つなぎ方」の革新で勝負する領域であり、日本の強みが生きやすい。AIの電力問題が深刻になるほど、この技術の価値は上がる。2030年代のAIインフラを支える「光」の量産技術が日本から生まれるかどうか、注目していきたい。

Frequently Asked Questions

光電融合とは何ですか

光電融合とは、半導体チップ間のデータ伝送を電気信号から光信号に置き換える技術の総称だ。光半導体デバイスを含む光集積回路(PIC)と電子集積回路(EIC)を高密度に実装した「光チップレット」が中核部品になる。伝送距離が伸びても消費電力が増えにくく、帯域幅の限界を突破できる可能性があるため、AIデータセンターの消費電力問題の解決策として期待されている。

NEDOの支援はどのくらいの規模ですか

当初の助成は最大160億円で、支援期間は2031年までの5年間だ。対象はNTTイノベーティブデバイスを代表提案者とする4社(NTTイノベーティブデバイス、ジャパンセミコンダクター、古河電気工業、新光電気工業)の共同提案で、テーマは「光チップレット実装技術による半導体デバイスの製造技術開発」。NTT本体はアドバイザとして参画する。2023年度からの研究開発フェーズを経て、量産技術の確立を目指す段階に入った。

光チップレットが実用化されると何が変わりますか

AIデータセンターや高性能計算システムで、GPUなどの演算チップ同士の通信が高速かつ低消費電力になる可能性がある。生成AIの普及でデータセンターの消費電力が増え続けるなか、チップ間のデータ伝送の電力を抑えられれば、運用コストと環境負荷の両面で効果が期待できる。日本にとっては、光電融合という得意領域で量産技術とサプライチェーンを押さえ、国際競争力を高める狙いもある。

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