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JAPAN AI 3.0登場:作ったAIをアプリとして全社に届ける新時代

JAPAN AI 3.0登場:作ったAIをアプリとして全社に届ける新時代

JAPAN AI 3.0登場:作ったAIをアプリとして全社に届ける新時代

企業でAIを使う段階は、もうチャットで遊ぶ時代ではない。JAPAN AI株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長 工藤智昭氏)は2026年10月22日、企業向けAIプラットフォーム「JAPAN AI」の大型アップデート「JAPAN AI 3.0」の提供を開始した。目玉は二つ。作ったAIをアプリとして組織に届ける「STUDIO App」と、各社の最上位モデルを依頼ごとに使い分ける「JAI Auto」だ。併せて無料のFreeから企業向け最上位のMaxまで、AI活用の段階に合わせた新料金プランも発表した。同日時点でJAI Autoは提供中で、STUDIO Appと新料金プランは同日から提供開始となった。

STUDIO App:ボトルネックは「作る」から「届ける」へ

同社の見立ては明確だ。現場の部門から面接評価や申請承認、提案資料作成といったAIへの要望が次々と生まれる一方で、要望のたびに外部へ発注すれば時間と費用がかかる。部門ごとに別のツールで作れば、アカウントや権限、外部サービスとの接続を毎回設定し直すことになる。つまりAI活用の詰まりどころは、作ること自体ではなく、作ったものを安全に全社へ届け続けることに移っているという。

STUDIO Appは、開発プラットフォーム「JAPAN AI STUDIO」で作った画面やAIエージェント、ワークフローや定期実行といった自動化、業務データをひとつのアプリにまとめて組織に届ける仕組みである。感覚としては、スマートフォンのアプリストアに近い。企業は業務に必要なAIアプリを選び、インストールするだけで導入できる。すべてのアプリは同社のAIエージェント実行基盤「JAPAN AI Agent OS」の上で動作するため、AIエージェントや各社のAIモデル、社内ナレッジ、外部ツールとの連携をアプリごとに作り込まずに済むという。

現場視点で見ると、この仕組みの価値は権限管理の共通化にある。誰がどのアプリをどこまで使えるかを共通の基盤で統制できるため、部門が独自に作ったAIアプリが野放しになる心配が減る。AIの社内利用でよく問題になるシャドーIT的な広がりや、権限設定の属人化を避けやすい設計だ。

公式アプリとマーケットプレイスが担う役割

同社が審査して提供する公式アプリは「STUDIO App Marketplace」からインストールするだけで導入でき、常に最新版へ自動更新される。対象プランでは一部の公式アプリを最初からインストールした状態で提供するため、社員はホーム画面からすぐに使い始められる。公式アプリは4種類から順次提供される予定で、今後はパートナー企業が開発したアプリの提供も予定しているという。

ここで押さえておきたいのは、公式アプリ自体も顧客が使うのと同じJAPAN AI STUDIOとSTUDIO Appの仕組みで作られているという点である。顧客は同じ方法で、人事部門向けの面接記録と評価整理アプリや、営業部門向けの商談記録から提案書の下書きを作るアプリといったものを、外部に発注せず短期間で作り、必要な部署と権限の範囲で届けられる。自社で作ったアプリはマーケットプレイスに出さず、社内だけに公開することもできる。

マーケットプレイス型の展開は、パートナー企業にとって新しい収益機会にもなり得る。公式アプリの拡充に加えてパートナー製アプリが並べば、業種特化のAIアプリが流通する場になる。日本企業が得意とする現場特化の業務知識をアプリとして切り出す動きが広がれば、AI活用の裾野はさらに広がるだろう。

JAI Auto:各社の最上位モデルをひとつのモデルとして使う

生成AIのモデルは提供元ごとに増え、得意な作業も料金もバラバラだ。全社でAIを使う企業では、業務ごとにどのモデルを選ぶべきか社員一人ひとりが判断するのは難しく、最上位モデルを使い続ければ費用が膨らむ。JAI Autoはこの悩みへの回答で、同社が評価と選定をした各社のモデルをひとつのモデルとして利用できる独自の自動選択機能である。

依頼に応じて適したモデルと、回答前にどれだけ考えるかを示す推論レベルを決め、必要な場面ではClaude Opus 5.5やGPT-6 Astraといった最上位モデルが回答する。利用者はモデルを選ばずに依頼でき、使いたいモデルを自分で指定することもできる。

料金設計も工夫されている。同社の発表によると、自社の評価ではJAI AutoはClaude Sonnet 5.5を大きく上回り、Claude Opus 5.5に迫る性能を示したという。料金面では、最上位モデルは必要な場面に絞ることで、どのモデルが回答しても単価はClaude Sonnet 5.5と同じであり、ひとつの依頼にかかる合計はSonnet 5.5を下回り、Claude Opus 5.5の半分以下になるという。これらの数値は同社の評価基盤「JAI Bench」(2026年10月実施、日本語の語彙や古文、指示の正確さ、文書作業、社内ナレッジ検索、ブラウザ操作、ファイル集計、安全性の38タスクを各3回実行)に基づく同社の主張であり、独立した第三者による検証ではない点には注意したい。

マルチモーダルと軽量版、国内リージョン対応

JAI Autoは添付ファイルに合わせて扱えるモデルを選ぶため、資料の読み取りから会議の録音、動画の確認まで、モデルを切り替えずに依頼できる。画像やPDF、音声、動画をそのまま扱える点は、会議議事録や提案資料の処理といった日常業務での使い勝手に直結する。

軽い質問や短い作業には、応答の速い軽量版「JAI Auto Lite」も用意され、新プランでは日常の対話に無料で利用できる(利用量の上限あり)。また企業のポリシーに合わせて、国内リージョンで提供されるモデルに限定するなど、JAI Autoが使用するモデルの範囲を指定できるオプションも順次提供される。データの国外持ち出しに慎重な企業や、規制業種の顧客にとっては見逃せない選択肢だ。

新しいAIモデルが登場すると、同社の評価専任チームが日本企業の業務を再現したJAI Benchで品質を確認し、基準を満たしたモデルを速やかにJAI Autoへ組み込む。モデルの使い分けも、評価と本番環境での品質計測に基づいて継続的に更新されるという。複数の提供元のモデルを組み合わせるため、特定のAI企業に依存せず、その時点で評価の高いモデルを業務に活かせる。評価の方法と結果は今後定期的に公開していくとしている。

新料金プラン:5段階で広げる

新料金プランはAI活用の段階に合わせて設計された。「ひとりで試す」「チームで使う」「全員が使う」「自分たちで作る」「作ったAIを全社の業務システムにする」の5段階で、FreeとTeamはWebから登録してその日から使い始められる。Teamは少人数チーム向けで、30日間の無料トライアルを最大3名まで試せる。ただしトライアル終了後は自動的に有料プランへ移行する点は確認しておきたい。期間中に解約すれば料金はかからない。

企業向けは新設のMaxを加えたEntry、Premium、Maxの3プランで、「使う。作る。業務にする。」に対応する。上位プランは下位プランの全機能を含み、Entryでは全社員が公式AIエージェントや公式アプリ、外部ツール連携を利用できる。PremiumではAIエージェントやスキル、ワークフローのビルダーとSTUDIOでのアプリ開発が使え、MaxではSTUDIO Appの全社公開とリリース管理(開発と本番環境の分離、バージョン管理、リリース承認)を利用できる。

企業向けプランには最低利用人数の設定がないため、部署単位の小さな導入から始めて全社へ広げられる設計だ。料金と契約条件は利用人数や要件に応じた個別案内になる。現在JAPAN AIを利用中の顧客も、JAI AutoとSTUDIO Appは今のプランのまま順次利用でき、新プランへの切り替えは担当者から個別に案内されるという。

JAPAN AIとは:どんな会社か

JAPAN AI株式会社は「AIで持続可能な未来の社会を創る」をPurposeに掲げ、2023年4月に設立された企業向けAIプラットフォームの開発会社である。本社は東京都新宿区西新宿の住友不動産新宿オークタワーで、代表取締役社長は工藤智昭氏。事業内容は企業向けAIプラットフォーム「JAPAN AI」の開発と提供、AIソリューションの開発と導入支援、人工知能の研究開発だ。

設立から約3年半で累計600社以上の導入支援実績を積んだことになる。日本の企業向けAI市場では、大手SIerや外資クラウドベンダーが入り乱れる中で、国内発のプラットフォームとして存在感を高めてきた。今回の3.0は、その蓄積を製品の形に落とし込んだものといえる。

モデル自動選択という発想:他社との違いはどこか

JAI Autoの特徴は、特定のAI企業に依存しない設計思想にある。一般的な企業向けAI製品は、特定の基盤モデルに固定されるか、利用者が自分でモデルを選ぶ必要がある。前者はベンダーロックインの懸念があり、後者は現場の社員にモデル選定の負担を押しつける。

JAI Autoはこの二択を避け、同社が評価と選定をした各社のモデルをひとつのモデルとして束ね、依頼ごとに最適なものを自動で割り振る。利用者はモデル名を意識せずに依頼でき、必要なら手動で指定もできる。料金は単価をClaude Sonnet 5.5にそろえ、ひとつの依頼の合計をSonnet 5.5以下に抑える設計だという。モデルが増えれば増えるほど選定が難しくなるという現場の実感に応えた形で、モデル自動選択は今後の企業向けAIの標準機能になる可能性がある。

ただし繰り返しになるが、性能と料金の数値は同社の自社評価「JAI Bench」に基づく主張である。評価は日本語の語彙や古文、指示の正確さ、文書作業、社内ナレッジ検索、ブラウザ操作、ファイル集計、安全性といった日本企業の業務を再現した38タスクを各3回実行したものと説明されている。評価の方法と結果は今後定期的に公開するとしているため、第三者が検証できるようになるのを待ちたい。

日本企業のAI活用はいまどこにいるのか

今回の発表は、日本企業のAI活用が試行段階から定着段階へ移っていることを示すいくつかの動きと重なる。日東工業は日本IBMの支援で、設備図面から分電盤の見積に必要な回路情報や機器情報を抽出するマルチモーダル生成AIアプリを開発し、全国23営業拠点の約50人が利用できる環境を整えて2026年10月から実業務での段階運用を始めた。見積ノウハウという熟練者の知見を構造化データとして蓄積し、組織全体で継承する知識基盤の構築まで踏み込んでいる。

金融ではSBI証券がAIオペレーターの導入で応対時間を月間2,933時間削減し、製造では富士通がミスミの商品情報管理に9つのAIエージェントを約2.5カ月で適用した事例が報じられた。DevRev Japanは日本リージョンで企業データ活用向けのAIエージェント基盤を一般提供し、LINE WORKSとジョイゾーは紙帳票のデータ化からkintoneへの登録までを一体化する。共通しているのは、AIを単独のチャット機能として導入する段階から、社内データや業務システムに接続する段階への移行だ。

こうした流れの中で、JAPAN AI 3.0が打ち出した「届ける」「選ぶ」「広げる」の三つの壁は、多くの日本企業が実際にぶつかっている壁と重なる。作ったAIを全社に届ける仕組み、モデル選びの負担を下げる仕組み、試用から全社展開まで無理なく広げる料金設計。どれも派手さはないが、定着を左右する地味な部分だ。

背景にある600社超の支援実績

開発の背景として、同社は生成AIの性能が急速に高まる一方で、企業の活用が全社員チャット利用の段階から部門業務への組み込み段階へ進んでいると指摘する。同社は2026年9月末時点で累計600社以上の企業のAI活用を支援した実績があり、その過程で成果の差を生んでいるのはAIの性能そのものよりも、AIを業務に定着させる仕組みだと考えるようになったという。

この考えを言い表したのが「届ける」「選ぶ」「広げる」の三つの壁だ。現場で作ったAIを安全に全社へ広げられるか。業務ごとに性能と費用の両面で最適なモデルを使えるか。個人で試す段階から全社展開まで無理なく進められるか。JAPAN AI 3.0はこの三つにひとつずつ答えるアップデートとして位置づけられている。執行役員CTOのYuyang Lan氏は「AIの性能が高まるほど、成果の差はAIを業務に定着させる仕組みで決まるようになる」とコメントしている。

データの取り扱いとセキュリティ

企業導入で気になるデータの取り扱いについて、同社は社内データや機密情報がLLMに学習されない環境を備えているとし、ISMS認証とプライバシーマークを取得している。モデル選定の根拠となる評価の方法と結果は今後定期的に公開していくとしており、JAI Autoへの新規モデル組み込みは日本企業の業務を再現したJAI Benchで品質を確認したものに限られるという。

導入を検討する前に確認したい点

発表内容はあくまで同社のプレスリリースに基づくもので、導入を検討する企業は次の点を確認しておくとよい。まず性能と料金の数値は同社の自社評価に基づく主張であり、独立した検証ではない。次に、Teamプランの30日間無料トライアルは終了後に自動的に有料プランへ移行するため、期間中の解約手続きを忘れないようにしたい。さらに、企業向けプランの料金と契約条件は利用人数や要件に応じた個別案内になるため、公開情報だけでは総額が見えない。最後に、STUDIO Appの全社公開とリリース管理を使えるのは最上位のMaxプランに限られるため、自社で作ったアプリを全社展開したい場合はプラン選びが重要になる。

Frequently Asked Questions

JAPAN AI 3.0とは何ですか

JAPAN AI株式会社が2026年10月22日に提供を開始した、企業向けAIプラットフォーム「JAPAN AI」の大型アップデートです。作成したAIをアプリとして組織に届ける「STUDIO App」、各社の最上位モデルを自動で使い分ける「JAI Auto」、無料のFreeから企業向け最上位のMaxまでの新料金プランの三本柱で構成されています。

JAI Autoの料金は高額になりませんか

同社の発表によると、JAI Autoは最上位モデルを必要な場面に絞るため、どのモデルが回答しても料金の単価はClaude Sonnet 5.5と同じで、ひとつの依頼にかかる合計はSonnet 5.5を下回り、Claude Opus 5.5の半分以下になるとしています。軽い質問向けには応答の速い「JAI Auto Lite」もあり、新プランでは日常の対話に無料で利用できます(利用量の上限あり)。なお性能と料金の数値は同社の自社評価に基づく主張です。

社内で作ったアプリを全社に公開するにはどのプランが必要ですか

STUDIO Appで作ったアプリを全社に公開し、開発と本番環境の分離やバージョン管理、リリース承認といったリリース管理を行うには、最上位のMaxプランが必要です。アプリ開発自体はPremium以上、公式アプリの利用は企業向けのすべてのプランで利用できます。現在利用中の顧客は、JAI AutoとSTUDIO Appを今のプランのまま順次利用できます。

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